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 「哲学の探究」35号 要旨

「現代的実体主義の諸相――実体の独立性をめぐって」
加地 大介(かち だいすけ/埼玉大学)

 現代形而上学における「新アリストテレス的分析形而上学」とも言うべきタイプのうちの一形態として、アリストテレスの形而上学において中心的位置を占めていた「実体」を基礎的存在者として重視する「実体主義」がある。本稿では、B.スミス、J. ホフマンとG. S. ローゼンクランツ(以下、H&Rと略称)、E. J. ロウという、現代の代表的実体主義者たちが、それぞれ特に実体の独立性をどのように特徴づけ、その結果どのような意味で実体を存在論的に重視しているのかを比較検討しながら、彼らの各主張について一定の評価を試みる。
 スミスは「境界占有性」、H&Rは「同種内独立性」、ロウは「本質独立性」をそれぞれ実体の独立性に関する中心的概念として位置付けている。その際、スミスとロウは、伝統的な意味での存在論的依存性の概念を基本的に守ったうえで、その際の依存性を「個別的依存性」としてより強い限定を加えることによって、その否定としての実体の独立性を確保しているのに対し、H&Rは、それを同種内独立性という新たな概念によって代替していると言える。
 H&Rによる実体の定義は、定義としての完成度は他の二者に比べて高いが、その中心概念である同種内独立性は、必ずしも実体の基礎的性格を保証するものではないように思われる。これに対し、スミスとロウはそれを実体の独立性によって一定程度確保しているが、その独立性の内容的規定については、境界に基づく質料主導型と本質に基づく形相主導型という、アリストテレスの実体論の多義性に対応した対照性が見出される。実体の客観性の確保という点ではスミスが勝っているものの、実体における本質の不可欠性の説明力に関してはロウの方が勝っていると思われる。ただしロウには、「本質」というもののさらなる内容的解明という課題が残されることになるだろう。

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